「ビジネスフレームワーク」という言葉、聞いたことありますか?
「ビジネスフレームワーク」とは、事業戦略を作る上で、基盤となる分析手法の枠組みのことです。
なんのこっちゃ、ですが、例をみれば「ああこういうことか」となんとなくイメージできるはずです。
ビジネスの成果を出すためのWeb施策を考えていく上でも、このビジネスフレームワークが、時に役立ちます。
(でもいつも役立つわけではありません)
本稿では、Web施策を考えるために使えそうな、代表的なビジネスフレームワークを紹介します。
3C分析
「3C分析」は、「Customer(顧客)」「競合(Competitor)」「自社(Corporation)」のCという頭文字をとって名付けられた分析手法です。
要するに、「この3つの要素をちゃんと考えようぜ」というものですね。
3C分析においては、分析する順番が重要です。
まず顧客、そのあと競合、最後に自社、です。この順番を肝に銘じておきましょう。
まず顧客が求めているものを見極める。
それからその顧客ニーズに対する、競合他社の動きを分析する。
最後にそれらをふまえて、自社がどう動くか考えるわけですね。
当たり前といえば当たり前のことだけど、こうしてフレームワークとして「どんっ!」と出されると、有無も言わせぬ説得力があるわね。
SWOT分析
先程の「3C分析」は、顧客を起点に、競合を見つつ自社に「何ができるか」考えるものでした。市場全体を見た、俯瞰的な視点が求められます。
今度の「SWOT分析」は、自社に「何ができるか」を具体的に考えるために使うと良いでしょう。
自社の強みと弱みを把握した上で、市場での機会を発見するためのモデルです。
「SWOT」は、4つの要素の頭文字です。
- S … Strength(強み)
- W…Weaknesses(弱み)
- O …Oppotunities(機会)
- T …Threats(脅威)
強みと弱みは内部要因、機会と脅威は外部要因です。
混同しないようにしてください。
内部要因はあくまで自社がもっているもの。外部要因は、社会や市場など、環境によってもたらされるものです。内部要因は自分たちでコントロール可能ですが、外部要因はそうではありません。
たとえばコロナ禍。多くの企業にとって「T:脅威」だけど、「O:機会」として捉える企業も少なくないわよね
クロスSWOT分析
SWOT分析は、4つの要素をそれぞれ把握する、という意味合いが強いです。
これをさらに進めて、事業戦略の策定につなげるには、「クロスSWOT分析」を行います。
「クロスSWOT」は、4つの要素を互いに掛け合わせてみることから始まります。
SO:強み×機会(積極化戦略)
これができれば言うことなし、です。自社の強みを使って、市場での機会を活かします。
ST:強み×脅威(差別化戦略)
認識した外部の脅威を、自社の強みを使ってうまくかわす、あるいは機会に変えようという戦略です。強みを使って逆風の中、競合他社と差別化を狙います。
コロナ禍でテイクアウト需要を伸ばした飲食店は、このSTをうまく活かしたと言えるでしょう。
WO:弱み×機会(段階的戦略)
市場には機会があるのに、自分たちはその分野が弱い… というような時。段階的な戦略をとります。
せっかくある機会を活かすために、少しずつ弱みを克服していく。競合の動向をうかがいながら、恐る恐る参入していく。など、大きな損失を出さないように、かつ、少しずつ機会も得ていく、という慎重な姿勢をとります。
WT:弱み×脅威(専守防衛・撤退)
自社の弱点が脅威にさらされている、あるいは、外部の脅威により自社の弱みが表面化してきた、など、ピンチの状況をどう乗り切るか、ということを考えます。
コロナ禍における旅行業界は、専守防衛を貫きつつ、新機軸のビジネスなどで活路を見出すことも視野に入れていたります。
5フォース分析
「3」C、SWOTの「4」ときて、最後は「5」で締めましょう。「5フォース分析」です。
5フォース分析では、自社事業を取り巻く外部環境を扱います。
「競争業者」「買い手」「売り手」「代替品」「新規参入」。
これら5つの要因をみながら、業界の競争原理や収益構造を探ります。
上の5つは、業界の「プレイヤー」として捉えます。「プレイヤー」はそれぞれが、自社事業に影響を与え続けます。プレイヤーに対して、自社がいかに有利な活動を行い、影響力をコントロールしていくか。継続的な分析が必要です。
競争業者(Rivalry)
この事業領域における競合他社がどのくらいいるのか。それらとの競争要因はなにか。価格?製品?サービス?これらを探り出し、競合に対する自社の優位を確保します。
買い手(Buyer Power)
買い手、つまりお客さんです。ここでは「お客さんの交渉力」が問題になります。供給過多、類似品の多さ、顧客の情報量、などにより買い手の交渉力が高まると、自社の利益を圧迫する要因になります。
売り手(Supplier Power)
売り手とは、自社の仕入れ業者のことです。自社事業のために、部品を仕入れたりITソフトを使ったりしますが、その供給業者を指します。例えば部品やソフトの希少価値が高い場合などに「供給業者の交渉力」が強くなり、そうなると自社の利益を圧迫します。
代替品(Threat of Substitutes)
自社の製品やサービスが、他のものに取って代わられてしまう可能性。この脅威を常に頭に入れておかなくてはなりません。業界内の他社製品に限らず、他の分野から代替品が現れる可能性も少なくありません。
チラシがネット広告に取って代わられつつあるように。
新規参入(Barriers to Entry)
この事業領域は、参入障壁が高いか、低いか。敷居が低ければ、当然新規参入の脅威にさらされ続けます。新規参入者はそれまでの業界の常識を刷新してしまう可能性もあります。参入障壁が低い分野の場合、見えない相手を感じながら、常に自身をアップデートしていく必要があるでしょう。
5つのフォースは、どれも業界の脅威について考えるとっかかりになるわね。大事なのは、これらの要因を見極め、自社をどうやって有利な状況にもっていくか。それを考え続けることなのよね。
3C分析と、SWOT分析と、5フォース分析を紹介しました。
これらのビジネスフレームワークは、なんかかっこよさげな雰囲気をもっていて、知ってるとつい口に出したくなりますが、やみくもに使うべきではありません。
ただ取り入れるだけでは混乱を招くだけです。
これらはただの考え方の枠組み。思考するための箱に過ぎません。
この箱を使っていろいろなことを考え、実行するのは自分たちです。