この「Web広告ニュース」の読者の皆様でしたら、「マーケティング・オートメーション」(以下“MA”)という言葉を耳にしたことがある方も多いと思います。
当社でも遅ればせながら昨年より「MAツール」を導入し、クライアントの皆様への導入支援やご提案をスタートさせていただいております。
本稿では、MAについて、まずは「何をするためのものなのか」を解説します。
「もう知ってるよ」という方も、改めて復習としてお付き合いいただければ幸いです。
マーケティングの自動化、とは
「マーケティング・オートメーション」をそのまま日本語にすると、マーケティングの自動化です(マーケティングはそのままにさせてください)
MAは、マーケティング活動を(ある程度)自動化するものなんですね。
てことは、PardotやSATORI、BowNowなどのMAツールは、マーケティング活動を自動化してくれるツールです。
MAが活躍するのはインターネット上なので、そうするとMAとは、インターネット上でのマーケティング活動を自動化するもの、と言えますね。
では、どのあたりを自動化してくれるのでしょうか。
MAの代表的な機能を挙げてみましょう。
・リード(見込み客のニーズ)の収集、育成、管理
・メールマーケティング
・フォーム作成と設置
たくさんある中で、とりあえず3つ挙げてみました。
ですが、ここで挙げた2番目「メールマーケティング」と3番目「フォーム作成と設置」は、突き詰めれば1番目の「リード(見込み客のニーズ)の収集、育成、管理」のためにあると言ってもいいでしょう。
そう、MAとは、「リード(見込み客のニーズ)の収集、育成、管理」を自動化してくれるためのツールなのです。
そしてその先には、管理されたリードに対して、効率的に営業活動を行う、という目的があります。
図にすると、こんなイメージです。
闇雲な営業活動を行う必要がなくなる、精度の高いセールスが可能になる、という雰囲気が漂いますよね。
リード(見込み客のニーズ)の収集、育成、管理 とは
MAは、リードの収集、育成、管理 をするものである。
では、「リード」とは何でしょうか。
ここでは「リード」=「見込み客のニーズ」ととりあえず定義しています。実はいろいろな説があります。
「リードはそんな単純なもんじゃない、もっといろんな意味があるんだ!」という人もいます。
ですが、ここでは話を単純化し前に進めるために、ひとまず「リード」=「見込み客のニーズ」とさせてください。
「見込み客のニーズ」であり、「客」そのものではないことに注意してください。
私見ですが、リードを「お客さんそのもの」と捉えてしまうと、壮大な勘違いを引き起こしてしまいます。
MA界隈には、ちょっと高飛車な用語が多い、と個人的に感じてます。
MAが扱う「リード」を、人ではなく、人が持つニーズを抽出した概念である、と捉えることで、勘違いしないようにしましょう。
詳しくはまた、いちばん最後に。
ともかく、リードを集めて、育てて、管理する、というのがMAツールの役割ということですね。
リードを集める
リードを「集める」という行為自体は、実はSEOやWeb広告など、他のWeb施策の役目だったりします。
MAはどちらかというと、集まってきたリードを「選別する」のが得意です。
サイトに来てくれた見込み客が、どういう人で、どういうページをどのくらい見たか、ということをかなり詳細に判別できます。
具体的には、会社名や個人名が分かって、その人が実績のページを2分見たあとにスタッフ紹介を3分見た、とか、そういう事が分かります。
例えば、
A社の田中次郎さんが、3/8にリスティング広告に関するブログ記事とGoogleアナリティクスに関するブログ記事を閲覧し、3/10に実績ページを見て、3/11に資料請求フォームを送信した、という行動履歴が分かったりします。
MAツールはIPアドレスとの照合や、フォームを通過させること等で、会社名や個人名を特定します。
例えばGoogleアナリティクスを普通に使うだけでは、こういう事はできません。
単なるアクセス解析ではなく、「リード」を集め、解析する、ということが、MA導入により可能になります。
リードを育てる
リードを「育てる」とはどういうことでしょうか。
サイトに訪れた見込み客に適切なアプローチをかけ、ニーズを掘り起こしたり喚起したり深堀りしたりすること
例えば、「リスティング広告」のブログ記事を熱心に読んでいるBさんという見込み客がいたとします。
この人の会社のお問合せフォームに、「リスティング広告の新しいサービスのご案内」のメッセージを送ってみる、というアプローチをとることは、営業手法としてアリでしょう。
上の例は、「フォームDM」と呼ばれる手法ですね。
それから、MAに搭載されているメール配信システムと組み合わせて、リスティング広告の記事読者に向けて、メール配信を試みるのも手です。
集めたリードに対して、計画的なプロセスを踏みながら適切なアプローチを仕掛けていく、こういう方法論を、「リードの育成」と呼んでいるわけです。
ちなみに、「リードを集める」ことを「リードジェネレーション」、「リードを育てる」ことを「リードナーチャリング」と専門用語で呼ぶこともあります。
見込み客を育てるためには、先述のように「計画的なプロセス」と「場面に合わせた適切なアプローチ手法」が必要です。MAツールはあくまでそれをサポートするもの、として捉えてください。
計画をたてたりアプローチ手法を考えるのは、われわれ人間です。
リードを管理する
リードを集め、適切に育てられるようになったら、こっちのものです。
持続可能なMAを実現するためには、リードをしっかり管理していきましょう。
多くのMAツールでは、リードにフラグやランク的なものをつけられます。
「潜在」「顕在」「アポ見込み」「アポ済み」「資料請求済み」「お問合せ済み」などのようなステータスフラグも立てられるでしょうし、「Web制作」「Web広告」「アクセス解析」など関心タグのようなもので整理することもできるでしょう。
このようにリードに適切なフラグを付けて管理していくことで、膨大なリードデータを一元管理し、営業が活用することができるようになります。
言わずもがなですが、リードの管理方法を考えるのも人間です。
MAを導入した際には、自社のマーケティングプロセスについて関係者全員で見直し、考える時間を設けましょう。
MAの用語は、お客さんを「集める」とか「育てる」とか、ずいぶん手前勝手な言い方が多いですよね。あんまり印象が良くないです。
が、ここは考え方をわかりやすくするためとして、割り切って用語を使いましょう。
実際にはお客さんは、そう簡単に集められるものでも育てられるものでも管理できるものでもないはずです。MAでできるのは、お客さんそのものでなく、お客さんの「ニーズ」部分だけを定量化して抜き取った「リード」という概念である、と考えてみると勘違いの危険性が薄まりそうです。
MAに踊らされすぎず、お客様とのFace to Faceの心、誠意を忘れないように営業活動を行っていきましょう。