2017年、Apple社がiOSの標準ブラウザ「Safari」に「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」機能を搭載しました。
これは、Webサイトに訪れたユーザーのネット上での行動が、広告のターゲティングなどに利用されるのを防ぐための措置です。ITPはそこから頻繁にアップデートが繰り返されており、ユーザー情報をトラッキングする行為の制限は、今後もますます厳しくなっていくでしょう。
ITPが制限しているのは、「Cookie(クッキー)」の利用です。
本稿では、Cookieについて解説します。
そもそもCookie(クッキー)って
Cookieとは、「ユーザーがWebページに訪問したときの記録」です。
この記録はテキストファイル形式で、先述のSafariやChrome、InternetExplorer、Firefoxなどの「ブラウザ」に保存されます。
Cookieには様々な情報を保存できます。
サイトのどのページを見たとか、何回見たとか、いつ見たとか、IPアドレスとか、ユーザーエージェントとか、そういうことですね。
サイト管理者側がCookieに意図的に情報を保存させ、それを利用してサイトを便利に使ってもらったりすることもあります。
会員サイトなどでの自動ログインがいい例です。「情報をブラウザに保存する」というチェックボックスをONにしておけば、毎回IDとパスワードを入力しなくても次回からは自動的にログインできる、という機能はとてもポピュラーです。
Cookieの種類
Cookieには、大きく分けて二種類があります。この区別は、Cookieがどこから発行されているかということをもとになされています。
自分のサイトから発行されているものが「ファーストパーティー・クッキー(1st Party Cookie)」、他社のサイトから発行されているものが「サードパーティー・クッキー(3rd Party Cookie)」です。
ファーストパーティー・クッキー(1st Party Cookie)
ファーストパーティー・クッキーは、自分のサイトで発行し利用するクッキーです。
先程の、ログイン情報の記憶なんかは、ファーストパーティーです。
サードパーティー・クッキー(3rd Party Cookie)
それに対して、サードパーティー・クッキーは、他者のクッキーなのです。
なぜ他者のクッキーがあるのか。
Webサイトには、広告や他の外部ツールなど他者のアイテムが埋め込まれているケースが非常に多いのです。まあ悪いことではないのですが。
サードパーティー・クッキーの主なものは、やはり広告配信プラットフォームでしょう。
Webページの中にWeb広告が表示されているとき、多くの場合、そのWeb広告は他者のプラットフォームから配信されています。
例えばGoogleやYahoo、Facebookなどがもつ「アドネットワーク」と呼ばれる広告配信ネットワークにより、選別された広告が、ユーザーに応じて、配信されているわけです。
この「ユーザーに応じて」という部分で、Cookieが活躍しています。
そのユーザーに最適な広告を表示するために、Cookieを利用しているのです。
サードパーティ・クッキーは、サイトに埋め込まれた専用タグによって収集され、広告配信や計測などのマーケティング施策に利用されています。
Cookieの制限
こうしたCookieでのユーザー情報収集と利用から、インターネットの閲覧者を守ろう、という名目のもと、Appleが動き出したのが2017年、そこから加速度的に業界全体の流れも変わってきています。
なんだか、2007年頃から始まった、Flashが淘汰された流れを思い出します。
あのときWebサイトのリッチな表現の主流だったFlashを「iPhoneでは表示させない」とAppleが発表。やがてFlashは表舞台から姿を消しました。
Cookieの制限もそれに似た匂いがします。
CookieはCookieで、非常に便利な機能ですし、Webの発展に大きく貢献したことは疑いないです。
Cookieが一気に完全になくなる、ということはないでしょうが、今後、業界の動きがどうなっていくのか、Webマーケティングを生業とする者としては、注視し続ける必要があります。
先述の「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」はバージョンアップデートが繰り返されており、ファーストパーティー・クッキーも、サードパーティー・クッキーもそれぞれで制限がかけられています。
Web広告ターゲティングのあり方も変わっていくでしょうし、今後もこの「Web広告ニュース」で情報をアップデートしてまいります。
Cookieについて見ていきました。
Appleに続いてGoogleもサードパーティクッキーの利用の制限を発表し、この流れは加速していくでしょう。
こういった流れを注視しながら、Web施策の方法を柔軟に変化させていく必要がありそうです。