Web広告ご予算の考え方

Web広告は、テレビや雑誌などのマス媒体と比べ、極めて少額から広告を配信することができます。

その点は大きなメリットです。ご予算に応じて、「身の丈にあった」広告展開ができますし、基本的には「クリック課金制」なので、理論上、ムダ使いもありません。

ですが、あまりにも少額のご予算設定だと、思うように効果が出づらい側面もあります。
また、様々なプラットフォームや配信方法がある中で、どこにどのように予算を配分すればいいのか、迷うことも多いと思います。

「Web広告をやりたいが、予算はどうしたらいいんだろう」

そういう疑問に関して考えてみます。

コンバージョンを売上に換算する

Web広告の予算を決めるには、「コンバージョン」を売上に換算することから考える必要があります。

「コンバージョン」は、目的に応じて設定します。
「資料請求」「イベント予約」「商品の購入」「お問い合わせ」といったメインどころから、「特定ページの滞在時間」「動画の再生」「特定のボタンのクリック」など、サイトとユーザー特性を照らし合わせながら考えます。
「マクロコンバージョン」「マイクロコンバージョン」の考え方も有効です。

例えば「資料請求」をコンバージョンと設定した時に、資料請求1件あたりの売上はいくらに換算できるでしょう

コンバージョンを売上に換算する方法

コンバージョンを売上に換算するシンプルな方法は、「客単価から逆算していく」です。

例えば、あるビジネスで、1件成約したら100万円の売上が見込めるとします。
もちろん売上金額はその都度、ケース・バイ・ケースだと思いますが、ここは平均値を割り出し、決めてしまいます。

1件成約 = 100万円

これが仮定できたら、今度は成約率を出しましょう。
ここでの成約率とは、「Webでコンバージョン(資料請求)をしたユーザーの中で、何%の人に実際に契約成立(成約)してもらえるか」ということです。
Webでの資料請求から契約成立までには、詳細問合せや商談など、いくつものステップがありますが、ここでは話をシンプルにするために、細かいステップはすっ飛ばして考えてみましょう。

仮に、成約率を20%と設定します。
「資料請求が5件あったら、1件が成約する」と考えるわけです。

そうすると、「1件の成約(=100万円)のためには、資料請求が5件必要」という図式が導かれます。

100万円 = 5件の資料請求(コンバージョン)

ですから、

1件のコンバージョンの価値 = 20万円

となります。

整理すると、次のようになります。

コンバージョンの価値を計算

客単価 100万円

成約率20%と仮定

コンバージョン 1件の価値 = 20万円

コンバージョンの価値→クリック単価→必要な予算

コンバージョン1件の価値が割り出せました。
今回の目的は「Web広告の予算を決める」ですから、もう少し遡って考えてみる必要があります。

では、コンバージョン1件を出すために必要なクリックは何件でしょうか

これは「コンバージョン率」によります。

「コンバージョン率」は、「すべてのクリック(=サイトへの流入)」のうち、何人がコンバージョン(ここでは資料請求)するか、ということを表す数字です。

コンバージョン率は、サイトを改善することで高めることが可能な数値ですが、ここでは仮に1%と設定しておきます。

コンバージョン率1%のとき、コンバージョン1件のために必要なクリック数は、「100」です。

さて、コンバージョン1件のために必要なクリック数が出ました。

そうしたら、今度はクリック単価を算出します。
Web広告は基本的にはクリック課金制で、ここの数字は想定しやすく、また、コントロールもある程度可能です。

仮にクリック単価が100円だとしましょう。1クリック = 100円 ですね。

そうすると、コンバージョン1件に対して必要な経費が概算で割り出せます。
整理するとこうなります。

コンバージョン1件のために必要なクリック数を計算

コンバージョン1件

コンバージョン率1%と仮定

必要なクリック数は100

クリック単価は100円

クリック単価 100円 × クリック数100 = 10,000円

コンバージョン1件のために必要な予算は10,000円

あとは、今回の施策で、どのくらい契約が欲しいのか(売り上げたいのか)というビジネス目標を決め、それもとに必要な予算を導くだけです。

仮に、「契約が10件欲しい!」とします。
ひとつの契約で100万円 だったので、「1,000万円売り上げたい!」ということと同じ意味です。

では最後に、1,000万円売り上げるために必要な予算を出します。

1,000万円売り上げるために必要な広告予算

客単価 100万円 × 10件成約 = 1,000万円

成約率20%と仮定

コンバージョン1件の価値は20万円(コンバージョン単価)

10件成約のために必要なコンバージョン 50件

コンバージョン率1%と仮定

コンバージョン50件のために必要なクリック数は5,000

クリック単価は100円と仮定

クリック単価 100円 × クリック数5,000 = 500,000円

1,000万円売り上げるために必要な予算は50万円

と、こんな感じになります。
これはすごく理想の形で、こういう図式がとれればいくらでも広告予算投下してもいい!というふうにも思えまるかもしれません。

実際には、成約率、コンバージョン率、といったあたりでなかなかうまくいかないこともありますし、客単価もそんなに大きくないよ、というケースがほとんどかもしれません。

上記はあくまでモデルケースですが、こういう考え方を使えば広告予算を導きやすいと思います。


Web広告のご予算をどう決めればいいのか。とても基本的な考え方を示しました。

ご参考にしていただければ幸いですし、ビジネスやマーケティング目標を鑑みつつ、大切なご予算をどのように有効に使うか、一緒に考えさせていただければと思います。

お問い合わせはお気軽に。

この記事を書いた人

樋口 大輔

新潟県新潟市出身。信州大学を卒業後、東京の出版社に就職。その後、日本とアジアを放浪。社会復帰し、ウェブ制作会社(東京)〜ウェブ制作会社(新潟)を経て、2015年5月キタック入社。2020年4月より現職。