自分たち専用の分類方法を
「効果的なマーケティングを行うための顧客の分類方法」。さまざまな場所で様々な人が語っていますね。
どれも正解なんだと思います。
ただ、いちばん大事なのは、次のことです。
自分たちのビジネスモデルに合わせた顧客の分類ができているか。
そして、その分類に合わせた施策を実行できているか。
顧客を分類(あるいはセグメント)しようと考える時、肝心なのは自分たちにあった方法がとれているか、です。多くのフレームワークや理論が語られていますが、そこで言われているのはあくまでセオリー。参考程度にとどめておき、実際には自分たちオリジナルの分類方法、そしてそれに合わせた施策を生み出したほうが良いでしょう。
顧客の分類マップ(案)
前段で「自分たち専用の分類方法を」と言いました。とはいえ、ゼロから創造する必要はありません。
先人や隣人の叡智は参考にしたいもの。フレームワークやモデルをマネてみて、ちょっと違和感があれば自分たちに合わせてカスタマイズすればいいと思います。
「さあ、本腰を入れてマーケティングに取り組もう」という方のために、「顧客分類マップ(案)」を作ってみました。できるだけ机上の空論ならないように、現実に則した内容にしたつもりです。
先述の通りあくまで参考モデルですが、まずはこれをたたき台に顧客を分類してみて、うまくハマらなかったら拡張や変更を施してみてはいかがでしょうか。
【1】未認知の人(購入なし・認知なし)
どのフレームワークでも、この層は必ず視野に入れています。「知らないし、当然購入したこともない」人たちです。
「知らない」ということは、「知った時にどう転ぶかわからない」ということ。一気に常連やファンになってくれる可能性もあります。
動きや属性がもっとも読みづらい層でもあるので、まずは「知ってもらう」努力から始めるのがいいでしょう。
【2】昔の客(過去に購入あり)
以前購入してくれたけど、今は購入がなく、お客さんではなくなった、という層です。「休眠顧客」という言い方をしたりしますね。
「以前」のスパンをどれくらいに設定するかは、自分たちの商材、サービスに応じて検討します。
例えば商品の購入サイクルが2ヶ月スパンであれば「1年以上」、3年スパンくらいであれば「10年以上」と見積もるなど。
この層には改善につながるヒントが眠っています。なぜ「購入をやめたのか」。ここを情報として収集できれば施策立案に役立ちます。
【3】見込み客(購入なし・認知あり)
「買ったことはないけど、知っている」。この層の背中をどうやって押すか、マーケターの腕の見せどころです。
ただ、「知っている」という部分の温度感を間違えてはいけないので、可能ならここをもう少し掘り下げてみましょう。ただ単に知っているのか、ネガティブに知っているのか、ポジティブに知っているのか、この違いを見極めるだけでもOKです。「コールドリード」とか「ホットリード」とか呼んだりもしますね。
ネガティブなイメージを持っている人には、その理由を分析し、ネガティブを払拭する訴求を。ポジティブなイメージを持っている人には、購入してもらうための最後のひと押しを。
【4】常連客(継続購入中)
現在もバリバリ購入してくださる、ありがたいお客様です。
「ロイヤルティ」の高いお客様、ということで、「ロイヤル顧客」と呼ぶこともありますね。
「パレートの法則」をご存知でしょうか。
上位20%のロイヤリティの高い顧客が、売上の80%を生む、という法則
この法則にも見てとれる通り、自分の顧客の上位20%は、扱いを絶対に疎かにできない層です。
継続購入してもらえるよう、そしてさらに満足度を上げられるよう、持続的なマーケティング施策が求められます。
未認知の人、昔の客、見込み客、常連客、と見てきました。ここまではなんとなくイメージできます。その下に、「ファン」という層がありますね。
「購入なし」と「あり」にまたがってます。
「ファン」は、デジタル(Web)マーケティングの時代に、きちんと見据えなくてはならない層であると言えます。それでは「ファン」について、考えてみましょう。
【5】遠巻きのファン(購入ないけどファン)
デジタルマーケティングの活性化により、多く産み出されたのがこの層なのではないでしょうか。
直接のお客さんではないけれど、例えばブランドの雰囲気が好き、この会社がやってるCMが好き、オウンドメディアが好き、SNSをフォローしてる、ということが、おおいにあり得ます。
企業側からすると、SNSのフォロワーが最もイメージしやすいでしょう。この層は、自身の購買はないものの、SNSのシェアやクチコミなどで、二次的なPRを行ってくれます。
デジタルマーケティングでこの層に対し、どのような態度をとるか。イメージをしっかり持ちましょう。
あくまでファンでいてもらい続けるために、雰囲気重視の施策を継続するのか。それともどこかで購入に転じてもらうような施策をとるのか。あるいは別の行動を起こしてもらうのか。
【6】サポーター(購入中のファン)
企業やブランドのファンであり、かつ継続購入してくれている人は、最も理想的な顧客です。
スポーツチームになぞらえて、「サポーター」と呼んでもいいでしょう。
言うまでもなく、「サポーター」を増やすことがマーケティングの目標です。
サポーターは自らも売上を上げ、ブランドやサービスの良さを世間に宣伝してくれます。自分がこのブランドを支えている、形作っている、という意識が芽生えている顧客も少なくないでしょう。
サポーター層をブランディングに巻き込み、「一緒に作っている」「育てている」感を醸成するというキャンペーンはある種のトレンドです。
顧客像を6つ想定し、顧客分類マップ案を提示しました。繰り返しますが、これは一つの例です。
ある視点を持って自分たちの顧客をしっかり分類すること。そして、それぞれに刺さるメッセージを発信することが大切です。