Webサイト、もっとやさしく

人間の脳は、変化してない

どこかで読んだのですが、

人間の脳は、一万年変化していない。

のだそうです。

大昔の、狩猟・採集の時代から変わっていない。
つまり、今の高度情報化社会、デジタル社会には、私たちの脳はおそらく最適化されていません。

インターネットの普及とデバイスの進化により、情報の洪水の中で、私たちは生きています。

望むと望まざるに関わらず、脳はそれらの情報を処理しようとしますが、なかなか難しい。テクノロジーのアップデートの速さに、脳の進化はついていけていません。

スマホでWebを見るしんどさ

今ではほとんどみんな、スマートフォンをもって暮らしています。
スマートフォンはインターネットに常時接続。誰もが、ワンタッチでいろんなWebページにアクセスできます。
いや、ワンタッチするまでもなく、ほっとくと情報は向こうからどんどん押し寄せてきます。

すごく若い人はどうかわかりませんが、スマホでWebページを見たりアプリを使ったりするのって、しんどいですよね。少なくとも一定の年齢以上になると肉体的にもきつくなってきます。
そして人はだれでも齢をとります。
今、苦悶の表情でスマホを操作しているおじさんおばさんは、20年後のあなたの姿です。

スマホは持ち運びがラクで、どこでもネットに繋げられます。みんなどこにいくにもスマホを手放しません。

みんなスマホをもってるから、情報を流す側も当然この超強力なインフラに乗っかります。「ネット上で、つまりオンラインでいろんな手続きをとれる」仕組みが増えてきました。決裁、予約、登録、申込み… 「デジタル化」です。

キタックの人

でも待ってください。デジタル化って、ほんとに便利なのでしょうか。

なんでもオンラインでやることが、いいことなのでしょうか。

例えば病院の予約がオンライン限定だと、しんどくないですか?

スマホ画面をいちいち指でスクロールさせながら、小さい文字を追って、目的の情報にたどり着いて、入力し、ボタンを押して… なんだかクラクラします。電話したい…

スマホで申込みするなら、紙に手書き→郵送という流れのほうが、なんかラク、という時ってありませんか。私はけっこうあります。というか、だいたいそうです。

どうしてでしょう。スマホの方がぱっとみラクそうなのに。

ほんとうの意味での、ユーザーフレンドリー

最初の話に戻って、人間の脳は太古から変化しておらず、たぶんスマホに最適化されてないんです。
しばらくこういう暮らしが続けば、人間の脳もそれなりにデジタルっぽくなるんでしょうか。

ところで、「ユーザーフレンドリー」という言葉があります。

Web制作の現場でよく使われる言葉です。「ユーザーに対して優しい作りにしましょうよ」「ユーザーが快適にWebページをみられるようにしましょうね」という意味合いです。

ここでいう「ユーザー」とは、誰のことなのでしょうか。

私は、ここで想定しているユーザー像が、ちょっとデジタル寄りになっている気がしてなりません。

普段からスマホを見続けている人。インターネットを使い慣れている人。画面にボタンぽいものがあったら自然に触ってしまう人。

いや、現代社会では、こういう人が圧倒的多数であることは事実です。でも、こういう生活を強いられている人間の脳は、意識しているしていないに関わらず、たぶん一様に疲れています。「スマホ脳」とか「ネット断捨離」という言葉もありますが、こういうものから逃げたい、という気持ちは、おそらく誰しももっています。

それでも私たちは、「世界のデジタル化」によって、ある程度はオンラインと共存していかなくてはなりません。

もっとやさしく

あくまで個人的な考えですが、Webサイトを作るとき、もっとやさしく作ってもいいんじゃないか、と思うのです。「ユーザーフレンドリー」という時の「ユーザー像」を、「スマホに疲れるわれわれ全人類」と設定してみる。スマホでWebページを閲覧してストレスがかかるのは、なにも高齢者だけでなくて、全人類だと仮定してみます

ではやさしいWebサイトとはどういうものでしょうか。

これには明確な定義はありません。が、いくつか指針のようなものは挙げられそうです。

  • 1ページの情報量を厳選。必要最小限のものを端的に伝える。できるだけスリムに
  • 多くの情報を出したいときは、別ページにまとめる。読みたい人だけが読めるように
  • 印刷フレンドリー(デジタルだけで完結しない。紙との併用をしっかり想定)
  • レイアウトは1カラム。縦読み想定。1文の幅を短く。
  • 文字を小さくしすぎない
  • 余白は充分にとる
キタックの人

異論反論ありそうですが、やさしいWebページの作り方、追求していきたいと思ってます。あまり考えず漫然と作るとどうしても前例踏襲してしまいがちなので、やさしくするにはそれなりの思考とテクニックが必要ですよね。

「印刷フレンドリー」は、個人的にけっこう重要なんじゃないか、と思ってます。

ツッコむ犀

このサイトも、やさしくないな。

お問い合わせはお気軽に。

この記事を書いた人

樋口 大輔

新潟県新潟市出身。信州大学を卒業後、東京の出版社に就職。その後、日本とアジアを放浪。社会復帰し、ウェブ制作会社(東京)〜ウェブ制作会社(新潟)を経て、2015年5月キタック入社。2020年4月より現職。