Web広告において、「地域ターゲティング」は最も基本的なセグメント方法の一つです。
地域を限定して、そこに向けて広告を配信していくやり方です。

新潟県内で店舗展開している企業が、「新潟県」のユーザーのみをターゲットにして広告をうったり、首都圏向けに訴求したい広告主が、東京、神奈川、埼玉、千葉に向けて配信したりしますね。
「地域ターゲティング」は、その名の通り地域を絞って広告を配信する設定なのですが、その「地域」の定義が微妙に異なる設定パターンが、実はいくつかあります。
この、「地域」の設定パターンはプラットフォームにより少しずつ違うのですが、今回はGoogle広告を例に挙げて解説します。

地域ターゲティングの設定内容
まず、地域ターゲティングの基本的な設定内容をみていきます。
大きく分けて、「ターゲット指定」と「除外」があります。
ターゲット指定
地域を指定し、そこに向けて広告を配信します。
国、都道府県、市町村、といった単位で指定可能です。また、特定のポイントにピンをたて、そこから「半径○キロメートル以内」といった範囲指定も可能です。
「ターゲット」の定義はいくつかパターンがあります。これについては後述します。

除外
特定の地域には広告を表示したくない場合、除外地域を指定できます。
除外設定をして、ビジネスに関係ない地域に広告を配信しないことにより、予算を有効に活用することができます。

「ターゲティング指定していなければそこには配信されないわけで、あえて除外する必要なんて無いんじゃないの?」
というご意見もあるかと思いますが、そういうわけでもないんです。
次に説明します。
地域ターゲティングの詳細設定
例えば「東京都23区」をターゲット指定しているのに、新潟市にいる人に広告が表示されてしまう、ということがあり得ます。
地域ターゲティングには「詳細設定」があり、ここで地域指定のバリエーションを検討できます。
Google広告の地域指定オプション
2020年12月現在、Google広告では、以下のような地域指定オプションが選択可能です。

ターゲット指定(上記では「目標」と記載)の推奨項目は、「ターゲット地域にいるユーザー」と「ターゲット地域に関心を示しているユーザー」となっており、これがデフォルト設定です。
「ターゲット地域にいる(可能性がある)」だけでなく、「関心を示している」ユーザーも含まれます。
「関心」について、Google公式ヘルプには下記のような記述があります。
ユーザーの関心を判断する材料のひとつは検索語句です。また、ユーザーが最近その地域にいた場合や、その地域に関連するコンテンツ(ページやサイトなど)を閲覧した場合にも、関心があるとみなされます。
Google広告 ヘルプより
これにより、その場所にいないユーザーにも広告が配信される、という現象が起こるわけです。

ちなみに「ターゲット地域にいる」というのも曖昧な表現で、実際にはその場にいなくても、「いる可能性が高い」「頻繁に訪れている」といったユーザーもターゲットに含まれます。
こう考えると、Googleの地域ターゲティングは非常に多義的ですね。
ターゲット地域に所在地があるユーザーと、ターゲット地域を定期的に訪れているユーザー
では、推奨(デフォルト)ではないもう一つのオプション「ターゲット地域に所在地があるユーザーと、ターゲット地域を定期的に訪れているユーザー」について考えてみましょう。
こちらは「関心」という概念が含まれていない分、ターゲティング範囲は狭くなります。検索した人とか、その地域関連のコンテンツを閲覧した人は含まれません。
そういう意味では、こちらの設定のほうがより「地域ターゲティング」のイメージに近いのかもしれません。
除外についても2パターン
除外設定の方でも、詳細指定オプションがあります。
- 除外地域にいるユーザーに広告を表示しない
- 除外地域にいるユーザー、または除外地域に関心を示しているユーザーに広告を表示しない
もちろん、後者のほうがより除外対象は広くなります。
ひとくちに「地域ターゲティング」といっても、中身のニュアンスにはバリエーションがある、ということがご理解いただけたでしょうか。
地域ターゲティングの考え方を整理し、きちんと狙ったところに配信できるようにしていきましょう。