Web広告は、ユーザーによるインターネット上の様々なアクションに対して広告主がお金を払うという構造が基本です。
「インターネット上の様々なアクション」の最もわかりやすいのは「クリック」ですが、それ以外にも、インプレッション(表示、閲覧)、コンバージョン(例えばフォームの送信)、動画なら視聴、といったものがあります。
Web広告を配信し、運用する際には、ユーザーにどういうアクションをしてほしいかによって、お金のかけ方を変える必要があります。
それを決めるのが「入札戦略」です。
Google、Yahooをはじめ、Web広告のプラットフォームでは、キャンペーンの目的に応じた入札戦略を選ぶことができます。
本稿では、「入札戦略」の概要を解説します。
Web広告は、クリックやインプレッションなどのユーザーアクションに課金される仕組みです。
いわばオークション制です。
各アクションに対し、いくら支払うのか予めその金額を設定しておくのがWeb広告における「入札」です。
まず目標を設定する
入札戦略を決める前に、Web広告で重視したい指標(目標)は何なのかを定めておく必要があります。
ここがブレると、この下の様々な設計が指針を失うことになります。
と言っても、そんなに多くありません。
基本的には、以下の4つのどれかから選ぶことになるでしょう。
- コンバージョン(サイト内での行動。フォーム送信など)を多く獲得する
- ウェブサイトへのアクセスを増やす
- ブランドの認知度向上
- 動画をたくさんみてもらう
他にもアプリのダウンロードとか、SNSであればフォロワーの獲得、エンゲージメント増などが考えられます。
上記のような目標をまずは設定し、その上で目標に対応した入札戦略を選ぶことになります。
自動入札と手動入札
さていよいよ入札戦略の選択に入るわけですが、入札戦略は、大別して二つに分けられます。
自動入札と、手動入札です。
自動入札
自動入札は、広告の目標に応じて、入札単価が自動的に決まる仕組みです。
Google広告の例を挙げると、「目標コンバージョン単価」や「クリック数の最大化」といった選択肢があります。
「目標コンバージョン単価」をとると、特定のコンバージョン単価を設定し、その単価を目指しながらコンバージョンをとっていくように入札が行われます。
単価を決めてコンバージョンを穫れるならこれが一番いいじゃないか、と思いますが、そう単純ではなく、コンバージョンを一定量出した上である程度の傾向をシステムに学習させる必要がありますし、そもそもいつでも狙ったコンバージョンが穫れるわけではありません。逆にコンバージョンが思うように穫れず、クリック単価が高騰してしまう、ということもあり得ます。
「クリック数の最大化」だと、予算内でできるだけ多くのクリックを獲得するように入札が行われます。
シンプルな戦略で、メリットとしては分かりやすくクリックが増えること、デメリットとしてはターゲットが不用意に拡がり、コンバージョンに繋がりにくい可能性があることなどが挙げられます。
手動入札
自動入札に対して、手動入札は、グループや広告ごとの入札単価を自分で設定します。
例えば「個別クリック単価制」というものがあります。
広告グループごと、広告ごと、あるいは検索広告ならキーワードごと、ディスプレイ広告ならプレースメントごとなどで個別に自由に入札上限単価を設定します。
「この広告は1クリック = 120円までしか出しません」というのをひとつずつ設定していくわけですね。
手間はかかりますが、とても細かい設計が可能です。
ただし、システム(AI)による学習の助けも使わないので、相当スキルのある人でないと逆に効果を落としかねません。
目標に応じた入札戦略設計を
ここまで紹介した「目標コンバージョン単価」や「クリック数の最大化」、「個別クリック単価制」は、いずれもGoogle広告で設定可能な入札戦略です。
ただ、Yahoo広告でも同じような設定は可能ですし、各種SNS広告でもこれに類するものはあります。
(ここではそれぞれのプラットフォームでの入札戦略を紹介することはしません。別記事にて。)
重要なのは、Web広告には「目標に応じた入札戦略設計」という考え方があること、そしてそれを理解することだと思います。
ここを特に考えず、予算と地域、ターゲット、広告クリエイティブくらいをなんとなく決めて配信、を求められるケースも多いのですが、そうした場合、なにをもって成果とするのか見えづらいですし、PDCAも回しづらくなります。
クライアントも、運用者も、それぞれが目標と入札戦略について理解した状態で運用を継続していくのが理想的な状態です。
Web広告の適切な運用には、目標に応じた入札戦略設計が欠かせません。入札戦略について理解した上で運用していきましょう。