Web広告には目標に応じた「入札戦略」を選択することが重要、という記事を書きました。
入札戦略にはおおまかに「自動入札」「手動入札」という区分がありますが、その分け方はどのプラットフォームでも基本的には同様です。
自動と手動という区分とは別に、プラットフォームごとでそれぞれ選択できる入札戦略があります。
ここでは、Google広告の入札戦略をみていきます。
Web広告の目標は、大きく分けて以下の四つです。
- コンバージョン重視
- クリック重視
- 認知拡大
- 動画の視聴重視
Google広告では、上記の四つに対してそれぞれ選択できる入札戦略が用意されています。
コンバージョン重視の入札戦略
目標コンバージョン単価(CPA)
指定したコンバージョン単価(CPA)以下でコンバージョンをとっていくように自動入札していきます。
目標コンバージョン単価を「10,000円」と設定したら、平均10,000円でより多くのコンバージョンを獲得できるようにうまいことやってくれるわけです。
これでうまく言ってくれたら言うことはありませんね。ただ、そう簡単に行かないケースも多々あります。
前提として、コンバージョントラッキングを行い、アカウントにある程度コンバージョンデータが蓄積される必要があります。ある程度の蓄積があると、アカウントは、コンバージョンが獲得できる入札や配信の傾向を「学習」していきます(ステータスに「学習中」と出ます)。
そのようにして学習した材料を元に自動入札を行ってくれるわけです。もちろん狙い通りに行かない場合もあるので、運用者は細かくアカウントの状況を確認する必要があります。
また、あくまで「コンバージョン単価」を設定するものなので、個々の上限クリック単価(入札単価)は設定しないほうがいいでしょう。
目標広告費用対効果(ROAS)
投資額に対する成果、つまり、「かけた広告費に対して得られた売上」を最大化するための入札戦略です。
「かけた広告費に対して得られた売上」を%で表したものがROAS(Return On Advertising Spend)です。
ROAS = 広告経由の売上÷広告費用×100(%)
目標広告費用対効果(ROAS)を、例えば300%に設定した場合、これを達成するように自動入札が行われます。
ROASが300%とは、広告費1,000円につき、3,000円の売上(広告の設定ではコンバージョン値)を獲得する、ということになります。
当然コンバージョントラッキングの設定、さらに、1コンバージョンにつきいくらの売上となるか(コンバージョン値)の設定が必要になります。
コンバージョン数の最大化
単価や費用対効果ではなく、とにかく予算を使い切ってコンバージョンの数を最大化したい、というときに使う入札戦略です。
CPAやROASを見ることなく、1日の平均予算を完全に使い切ることを目指すので、予算設定も重要です。予算が充分でなかったり、学習がうまく行っていない場合は、クリック単価が高騰しコンバージョンは穫れない、という状況も考えられるので、逐次様子を確認しながら運用する必要があります。
コンバージョン値の最大化
特定の広告費用対効果(ROAS)を設定するのではなく、指定した予算の範囲内でキャンペーン全体の合計コンバージョン値を最大化できます。
最大化したい値(収益や利益率など)を予め設定しておきます。
拡張クリック単価(eCPC)
上記までと少し毛色が違いますが、「拡張クリック単価」というものがあります。
これは後述する「クリック単価制」の個別単価設定で使用できるオプションです。
コンバージョンを最大限に獲得できるような設定であることに変わりないですが、コンバージョン獲得のために個別に設定した入札単価が自動的に調整されるようになります。
手動で設定した入札単価が、コンバージョン最適化のためにシステムによって自動調整されます。
その際、平均クリック単価が、設定した上限クリック単価(入札単価調整を含む)を超えないように調整されるので、この点では安心です。
クリック重視の入札戦略
クリック数の最大化
クリック重視ということは、ウェブサイトへのトラフィック(流入)を増やしていきたいわけです。
「クリック数の最大化」入札戦略は、クリック数 = トラフィック = 流入 が最大限得られるように、設定予算内で自動入札が行われます。
入札単価はGoogleのシステムにより自動設定されますが、決まった予算内でクリック数を最大化するため、入札単価は低く抑えられる事が多いです。
個別クリック単価制
こちらは手動入札です。上限入札単価を運用者が自分で個別に設定します。
広告グループ、あるいは個々のキーワードやプレースメントごとに入札単価を調整できます。効果を見極めて個別に微調整していくことも可能です。
認知拡大
「認知拡大」と一口に言っても、その内実は様々です。ここでは、「露出の増加」と捉えておきます。
目標インプレッションシェア
「インプレッションシェア」は、認知効果を計る意味で重要な指標です。
広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合
広告のトータルの表示機会(潜在能力)に対して、実際に表示された割合です。当然、高ければ高いほどよく、ここを上げていくのが広告の認知効果増を目指す上での目標になります。
ここではクリックは問題ではなく、あくまで表示(インプレッション)を問題にする、というところがポイントですね。
広告を表示する場所として、Google 検索結果ページの最上部、上部、または任意の場所の3つの選択肢があり、例えば「ページの最上部のインプレッションシェアを50%に」などの設定をし、そこを目標に自動入札が行われます。
インプレッション単価制(CPM)
主にディスプレイ広告で、表示回数(インプレッション)1,000回に対して入札します。
クリック単価制のインプレッション版です。
クリックは1クリックへの入札ですが、インプレッションは1,000インプレッションが1単位となります。
視認範囲のインプレッション単価制(vCPM)
上記「インプレッション単価制」において、より戦略的なオプションです。
「ディスプレイネットワークのみ」のキャンペーンで「インプレッション単価制」を選んでいる場合に採用できます。
・広告面積の 50% 以上が画面に表示されている
・ディスプレイ広告では 1 秒以上の表示、動画広告では 2 秒以上の継続再生があった場合
仕組みとしては上記「インプレッション単価制」と同様です。
視認範囲とみなされたインプレッションでのみ料金が発生します。
また、視認範囲で表示される見込みの高い広告枠を優先して入札単価が最適化されます。
インプレッション単価制でいくなら、この「視認範囲のインプレッション単価」にしておいたほうが無難でしょう。
広告にある程度の情報が掲載されており、クリックしてウェブサイトに誘導する必要がそれほどない時、つまり広告を見てもらうだけで一定の目的が達成できる場合に有効です。
動画の視聴重視
広告視聴単価制(CPV)
TrueView動画広告の基本的な入札戦略です。
ユーザーが動画を視聴するか、Call-to-Action オーバーレイ(CTA)やカード、コンパニオン バナーのクリックなどの動画に対する操作を行ったときに料金が発生します。
動画広告に関するこちらの記事もご参照ください。
Google広告で選択可能な入札戦略を概観しました。目標に応じて様々な入札戦略がありますね。入札戦略ごとに見るべき指標、とるべき運用手法も変わってきます。
そのあたりを見定めながら運用していきましょう。