(2022年~)Google広告で広告主情報と配信した広告が閲覧可能に

2021年9月22日(アメリカ時間)に、Google は広告の透明性強化のため、 身元確認済みの広告主による過去30日以内の広告と広告主情報をエンドユーザーが確認できるようアップデートしていくことを発表しました。

ここ数年活発に行われているエンドユーザー保護の取り組みの一環ということでしょう。個人情報保護などユーザー自身を守るものや、表現規制など広告を対象とする施策がこれまでは多かった印象ですが、今回のものは広告主の責任、広告・ユーザーとの向き合いを問うようなものとなっています。

広告主として、個人的にとても気になるニュースでしたので、内容を解説します。さらっと読んでみてください。

アップデート内容について

後述しますが、2020年春から始まった広告主の適格性確認プログラムの延長上の施策になります。

エンドユーザーは広告から広告主に関するページにアクセス出来るようになり、そこで広告主の情報や、直近の広告を確認することができます。

これにより、エンドユーザーは良いと思った広告をクリックする前に広告主のことをもっと詳しく知ることができます。ポリシーに違反している広告であれば通報をより簡単にすることができ、ユーザーにとって安全・安心できる環境を整えることができるとGoogleは述べています。

アップデート後のイメージ

https://blog.google/products/ads-commerce/giving-users-more-transparency-their-google-ad-experience/ より

To give users of our products even more transparency, we are enhancing ad disclosures with new advertiser pages. Users can access these disclosures in our new “About this ad” menu to see the ads a specific verified advertiser has run over the past 30 days.

https://blog.google/products/ads-commerce/giving-users-more-transparency-their-google-ad-experience/ より

広告情報のボタンに表示される「About this ad (≒この広告について)」から広告ページに行くと、広告が表示されている理由と広告主の情報が表示されます。そしてさらに「See more ads by this advertiser (≒この広告主による広告をもっと見る)」をクリックすると、その広告主の過去30日間の広告を閲覧できるようです。

対象の広告主

すべての広告主がいきなり対象となるわけではないようで、「verified advertiser(身元確認済の広告主)」と記述されています。広告主の身元確認は2020年4月より、同じく広告の透明性観点で開始になりました。(厳密には、2018年から政治広告向けに開始され、2020年4月より全業種が対象になりました。)

身元確認が必要とされた広告主にはGoogleより通知が届き、その後 30 日以内に必要書類の返送などが求められます。期限内に確認の手続きが完了しなければアカウントが一時停止されます。詳細はこちらをご覧ください。

ちなみに、広告の出稿主が複数社をクライアントにもつ代理店の場合、その代理店が担当している全クライアントの広告が閲覧可能になるのか、それともその広告アカウント分のみになるのか (MCCアカウント単位での開示になるのか、個社の広告アカウント単位の開示になるのか)は代理店である筆者にとっては気になるところです。おそらく後者かと思われます。

広告主の身元確認が(MCCアカウントではなく)広告アカウント単位で、各アカウントの(本当の)広告主の正式名に対して確認を申請する(下記リンクのステップ1 – 5参照)ためです。

アップデート時期

Advertiser pages will launch in the coming months in the United States, and will roll out in phases to more countries in 2022. We will also continue to explore how to share additional data within advertiser pages over time.

https://blog.google/products/ads-commerce/giving-users-more-transparency-their-google-ad-experience/ より

アップデート時期はアメリカではあと数か月。他の国へは2022年から展開していく予定のようです。現時点で行うべきことは特にありませんが、強いて言えば上記の身元確認の要請が来た際に早めに動ける準備(こういうアップデートが今後あるという周知など)をしておくと良いのではないでしょうか。

広告施策にはどう影響しそうか

30日とはいえ、過去の広告・メッセージが見られるようになるため、 統一性・一貫性が求められるようになります。二枚舌のような広告展開は難しくなるでしょう。

ユーザーだけでなく、競合に見られている意識も必要になります。1つでも広告を見つければ、他の広告も確認できるため競合の研究がしやすくなります。(個人的にはこちらの方がインパクトは大きい気がしています。)

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この記事を書いた人

KA⚡AI

新潟県出身。早稲田大学卒業後、オーストラリアで修士、東京で経営管理システムコンサルティング、台湾の事業会社でのWebマーケティング・セールスを経て故郷新潟へUターン。2020年7月より現職。